山梨県庁の建つ場所は、かつての甲府城楽屋曲輪であった。平成22年(2010)から行われた発掘調査で楽屋曲輪南西隅に東西に延びる、幅は約27m、高さ4mの石垣が発見された。石垣は詳細な記録保存調査の上、積石・詰石などが解体され、さらに基礎地盤構造の把握まで行った。その結果をもとに、山梨県庁防災新館の地下1階に石垣の一部が当時の技術を活用して移築し、展示されている。
県庁の防災新館の地下1階、自動ドアの向こうには魅惑の石垣展示ワールドが。
暗い部屋にライトアップされる石垣。これまでにあまり見たことの無いような石垣展示の演出である。
部屋の右手には約13mの移築された野面積み石垣と、石垣とともに発掘された石垣を下支えした胴木の展示がある。左手には解説パネルが掲示され、また映像による解説を見ることができる。
石垣展示の最奥部。鍛冶曲輪の石垣や、発掘時の石垣の写真を示して、展示されている石垣が全体としてどのような姿であったか想像できるようにしている。発掘・展示されている石垣の高さは、全体の高さの半分から1/3程度である。
石垣の前に展示されている胴木。本来は石垣の下にあるもので、通常は目にすることができないが、石垣とともに発掘されたのでここに展示されている。
解説板を引用すると「胴木は、軟弱地盤での石垣の重さで生じる不等沈下や滑りによって、石垣が崩壊するのを防ぐために敷かれた木材」とのこと。石垣の下に敷かれている胴木を見学できるのは全国的にも珍しいのではないか。
石垣と胴木の関係の解説
展示室内からは県庁の防災新館のエレベーターが見える。このフロアは県庁の駐車場なので、スーツ姿の来訪客の姿が見える。なお、県議会議事堂東側からは絵図に描かれた温泉跡とみられる敷石遺構が発見された。城内に温泉が湧いていて温泉施設があるのは極めて珍しいのではないか。